スクワットは脚から股関節、体幹にかけての多くの筋肉を動員して股関節を力強く伸展する、全身に負荷をかけられる、アスリートにはとても大切なトレーニング種目です。

またスクワットはアスリートにとってだけではなく、一般の方の体力増強や腰痛などの慢性痛の軽減にも高い効果が期待でき、健康的な生活を長く送っていってもらう上でとても有益なトレーニング種目です。
脊髄や下肢に障害をお持ちの方で、どうしてもスクワットを実施できない場合も多くありますが、身体的な条件で実施が可能な方には、すべての方にお勧めしたいエクササイズです。
ですが、脚や体幹は十分に元気でも、上肢(腕や肩など)に障害をお持ちの方などは、スクワットをトレーニング種目として採用しづらい、というケースもあります。そういった方々にもぜひ安全にスクワットに取り組んでもらい、全身の機能を高めてもらいたいと思い、腕に障害を持つアスリートが実際にスクワットに取り組んでいる例を紹介します。
【上肢に障害を持つアスリートのスクワットの例(新田佳浩選手の場合)】
上肢に様々な障害(切断や先天欠損、麻痺など)の場合、バーを安定してうまく担ぐことが出来ずに、スクワットを採用することへのハードルがやや高いケースがあります。

モデルは新田佳浩選手(パラクロスカントリースキー)にお願いしました。
(主な戦績:冬季パラリンピック7大会連続出場中、2002ソルトレークシティー銅メダル、2010バンクーバー金メダル2個、2018平昌金メダル銀メダル)
新田選手は幼いころの事故で左腕を前腕から失いましたが、類まれな取り組みを長年続けて、上記のような素晴らしい成績を収めている、パラスポーツ界のレジェンド選手です。(現在45歳、現役バリバリ、2026冬季パラリンピック(イタリア・コルチナ)に出場します。
新田選手は日ごろのトレーニングでもスクワットを取り入れています。身体能力もとても高く、またトレーニングもやり慣れているので、肘まである左腕をうまく使って、上の写真のような形でスクワットを安全におこなえています。
ですが、腕の障害がもう少し重い場合(麻痺の程度が強い、切断がもっと体に近い場合など)、またトレーニング経験が浅い場合など、うまくバーが担げないこともあります。そういったケースの場合でも安定した姿勢で安全にスクワットトレーニングが行えるよう、釈迦のパーソナルスポーツケアでは少し変わった用具を使用しています。
【セーフティスクワットバーを使用してのスクワット】

(画像:商品ホームページより、『ONI 鬼 アジャスタブルセーフティスクワットバーSSB』)
もともとは通常のバーを背中に担ぐ姿勢では、肩甲骨周りの柔軟性や怪我などの影響で肩や肘などに痛みや不快感を感じる方が、より安全に下肢にしっかりと負荷をかけるために用いられるケースが多いです。なので、上肢に障害があるパラアスリートが用いるのにとても適した用具です。

肩と背中で安定してバーを担ぐことが出来ます。

グリップを片手で保持しても、スクワットに集中して取り組めます。

スプリットスクワットなどのスタンスを変化させてのスクワットにも対応できます。
新田選手の使用感は、「通常の真っすぐのバーと、少し重心の感覚が違うので最初は戸惑ったが、すぐに慣れたので問題なくトレーニングに取り組める」とのことでした。
【スクワットのメリットを多くの方へ】
スクワットやデッドリフトに代表される下肢の荷重系のトレーニング種目は、股関節伸展筋力や下肢の筋力を向上させて、より安定して力強い動作を遂行する基礎的な能力を高めるために、とても有益なものです。
また、競技パフォーマンス向上だけでなく、一般の方や高齢者がいつまでも健康的に生活を送っていくうえでも、下肢筋力の維持向上は健康寿命という観点からもとても大切なことになってきます。
競技パフォーマンスを少しでも高めるために下肢のトレーニングに取り組みたいけど、障害などの身体条件があり、なかなか実施に踏み切れていないパラアスリートや、けがや柔軟性の問題からスクワットがやりづらい一般の方に、セーフティスクワットバーはトレーニングの選択肢を提供するという意味でも、とても使い勝手のある良いトレーニング用具です。
釈迦のパーソナルスポーツケアでは、杉並区の荻窪、上荻にて、主にスポーツにまつわる様々な痛みや不調のお悩みの解決、大切なレースや試合などへのコンディション調整のサポートを行っております。お気軽にお問い合わせください。