知り合いの未来ある若者から、「パラアスリートのトレーナーの方がどんな仕事をしているか知りたい」とご質問を頂いたので、自分の中での整理も含めて書いてみようと思います。

そもそもトレーナーって?

「パラアスリートのトレーナー」を考える前に、アスリートをサポートするトレーナー、という仕事について、少し考えてみます。

「トレーナー」、Oxford Languages(Google辞書の提供元)によると、

1.競技の練習を指導する人、競技者のコンディションを整える面を受け持つ

2.運動用の長そでシャツ

とありました。シャツは除外して話を進めます。

「競技の練習を指導する人」…ボクシングのトレーナーさんがこのイメージに一番近いでしょうか、いわゆるコーチの役割ですね。「トレーナー」に近い職種の中でも、ストレングス強化を受け持つSCコーチ(※SC…ストレングス&コンディショニング)やフィジカルコーチ、フィジコ(主にサッカーなどでの呼称)、フィットネスコーチ(主にラグビーなどでの呼称)、またボディメイク競技に携わったりパーソナルトレーニングを指導するパーソナルトレーナーなどは、この「競技の練習を指導する人」に近いかも知れません。

もう一つ挙げられていた、「競技者のコンディションを整える面を受け持つ」について考えてみます。

こちらのほうが、コーチとは別の立ち位置でアスリートのコンディショニングを様々な面からサポートする、いわゆるトレーナー、アスレティックトレーナーに近いイメージかも知れません。

様々なバックグラウンドを持つトレーナー

「競技者のコンディションを整える面を受け持つ」トレーナーについて、もう少し考えてみます。

現在のスポーツの現場においては、様々な資格や技能をバックグラウンドとしたたくさんのトレーナーさんが、アスリートを日々サポートしています。

・医療系の国家資格(理学療法士や鍼灸マッサージ師、柔道整復師など)を持っているトレーナー

・米国の公認アスレティックトレーナー資格を持っているトレーナー

・日本の公認アスレティックトレーナー資格(JSPO-AT)を持っているトレーナー

・トレーニング指導者資格(NSCA、JATIなど)をもっているトレーナー

・上記資格を複数持っているトレーナー

・特に資格を持たずに活動するトレーナー

資格や技術など背景が様々なトレーナーさんが活躍されているので、以下では「アスリートのコンディショニングをサポートする」ことを理念で明確にうたっている、日本の公認アスレティックトレーナー、日本スポーツ協会公認AT(JSPO-AT)についてみてみます。

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)

日本スポーツ協会のHPでATについて見てみると、

  1. スポーツ活動中の外傷・障害予防
  2. コンディショニングやリコンディショニング
  3. プレーヤーの安全管理と健康管理
  4. 医療資格者に引き継ぐまでの救急対応

上記4つの役割に関する知識と実践能力を活用し、スポーツをする人の安全と安心を確保したうえで、パフォーマンスの回復や向上を支援する指導者、とありました。

つまり、アスレティックトレーナーとは、鍼灸やマッサージなどの治療家、リハビリ専門技能を持った医療職、などではなくあくまで「スポーツ指導者」である、というのが日本スポーツ協会ATの理念なんですね。

現場では医療系資格と公認ATをともに保持しているトレーナーも多いです(私も鍼灸マッサージ、JSPO-AT、NSCA-CSCSを保有)。

そういった複数ライセンスや技術の持ち主が、現場でATとして選手のけが予防や安全管理を担い、さらに追加技能として鍼灸マッサージやリハビリやトレーニングなどの専門技術を用いて、より手厚くアスリートをサポートしている、というのがスポーツ現場の実際です。

パラアスリートをサポートするトレーナー

パラアスリートのサポートに関連するトレーナー資格には、「JSPA
公財日本パラスポーツ協会)公認パラスポーツトレーナー」というものもあります。

概ね健常者アスリートへのサポート体制と同様、様々な医療系資格+公認ATを持ったトレーナーが、パラアスリートをサポートしているケースが多いかと思われます。

長くなったので、次回「パラアスリートのトレーナーの仕事内容」に続けていきます。